バイオサイエンス

生命の設計図遺伝子DNAと化学

生命の設計図遺伝子DNAと化学
人間の遺伝子DNAの塩基配列が解読され、その機能までが明らかにされようとしています。ポストゲノム時代には、特定の情報をもつ遺伝子DNAに結合したり、切断する分子で、この生命の設計図をコントロールしたい。こんな夢の人工分子が、化学と生物の融合領域であるケミカルバイオロジーを武器に、分子レベルでデザイン・合成され、難病の治療などに貢献することが期待されています。

中性脂肪をため込んだ脂肪細胞

中性脂肪をため込んだ脂肪細胞
私たちヒトの体は、的確な役割分担の元に、協調して機能する、約60兆個の細胞から構成されています。同一のDNA、すなわち同じ設計図を持つこれらの細胞に、的確な役割を割り振っているのが「分化」と呼ばれるシステムです。写真は、繊維芽細胞に対して分化を誘導する薬剤を処理することで形成された脂肪細胞です。細胞中に中性脂肪の油滴が多数観察されます。設計図の全貌が明らかになりつつある今、設計図がどのように利用されているかを解明することに焦点が移りつつあります。

生体類似ソフトマテリアル

生体類似ソフトマテリアル
私たちの身体の細胞や組織をはじめとして多くの自然の構造物はナノスケールの物質から組み上げられています。写真は粒子の周りにナノサイズの粒子が集積した組織体を示しています。このような組織体は弱い相互作用で集合しており、生体組織のように強靱でしなやかな材料のもととなる可能性を秘めています。

スイッチがオンになった神経細胞

スイッチがオンになった神経細胞
細胞は外界からの指令により、発現する遺伝子を常に調節しています。レセプターで捉えられたこれらの指令は、シグナル伝達と呼ばれるタンパク質の活性を次から次へと変換していくシステムにより核へと伝えられます。増殖、防御、アポトーシスなどの指令を伝えるシグナル伝達系の解明は、癌、炎症、自己免疫疾患、アルツハイマー病などの疾患に対する新しいタイプの治療薬を提供する可能性を秘めています。

有用な酵素を産生するペニシリウム属糸状菌

有用な酵素を産生するペニシリウム属糸状菌
写真は慶應義塾大学理工学部応用化学科の学生により単離されたPenicillium属の糸状菌で、優れた糖転位能を有するエキソ-グルコサミニダーゼを産生します。本酵素により天然に豊富に存在するキトサンと長鎖アルコールよりワンポットでアルキルグリコシドが得られます。本物質は優れた機能と環境及び生体に対する安全性を有する次世代型天然系界面活性剤として期待されています。

炭酸塩結晶の自己組織化による生命的形態の形成

炭酸塩結晶の自己組織化による生命的形態の形成
結晶は通常幾何学的な形状をとりますが、結晶成長にある成分を添加すると、無機結晶でありながら自発的に生命的な形態をとることがわかってきました。このような生命の起源を追求し、人工骨などの新たな生体材料への応用が期待されています。