材料化学研究室(今井研)研究室紹介

★所属:理工学部応用化学科(学部)/総合デザイン工学専攻・機能デザイン科学専修(大学院)
★メンバー:今井宏明教授・緒明佑哉准教授・研究員4名・秘書1名・博士課程1名・修士課程19名・学部4年10名

     研究室見学を希望されるB3の方は、事前に教員にメールをするようにしてください。



最先端機能材料をつくってみませんか?
環境にやさしい材料合成をしてみませんか?


研究の背景と目標

  近年、豊かな生活を送ることができる一方で、資源・環境・エネルギー問題が深刻化しています。石油資源の枯渇、希少金属の枯渇、温暖化など多数の問題があります。私たちは、「トータルに環境にやさしいものづくり」を目指しています。これまでの材料合成においては、希少金属を含む多量の原材料から、高温・高圧などの高エネルギーのプロセスを経て作られ、使用後には廃棄物の問題が生じていました。これらの問題とは無縁な材料が自然界にはあります。貝殻・骨などの生体がつくる鉱物=バイオミネラルです。私たちは、バイオミネラルの構造や形成プロセスをよく観察して学びながら、安価な原料・環境にやさしいプロセス・自己組織化による材料合成の研究、さらにそれによって既存の材料を凌駕するような機能、リサイクルができるような材料の開発を目指しています。

  また、当研究室は、これまでにもある無機有機複合材料という枠を超え、異分野の人材と材料とアイディアを融合させた材料開発プロジェクト「融合マテリアル:分子制御による材料創製と機能開拓」(平成22年度発足)の一員として活動し、分野が異なる他大の研究室との連携による研究を進展させていす。具体的には、無機化学、有機機能材料、生体分子化学、シミュレーション、高分子化学、生化学、ソフトマター、コロイド化学、ナノ材料を専門とする研究室との密な交流と共同研究から、次世代の材料の学問と材料調和社会を真剣に考えています。

研究のキーワード

バイオミネラリゼーション、メソクリスタル、生体模倣プロセス、水溶液プロセス、自己組織化、結晶成長、 有機無機複合体、ナノ材料、環境・エネルギー材料、機能性セラミックス、メソポーラス材料、生体親和性材料 有機無機複合自己修復材料、無機材料の精密合成

研究の概要(抜粋)

貝殻・真珠層など天然の有機無機複合体(バイオミネラル)の構造と形成プロセスにまなび・ならう
自然界のものづくりを模倣した有機分子・高分子を用いた無機結晶・材料の構造デザイン
温和な条件の水溶液中においてセラミックス(機能性酸化物など)を合成する新しい合成方法を開発する
新しい固体材料の構造「メソクリスタル」を設計・合成・制御・機能化する
結晶成長における自己組織化による新しい現象・かたちの発現・制御・メカニズムの解明
生体活性無機材料の合成・構造デザインとバイオ応用
作製した材料の環境・エネルギー材料(光触媒・太陽電池・リチウムイオン二次電池電極など)への応用
多機能性メソポーラスシリカの新規合成方法の開発、構造設計、機能開拓

修論題目の例(令和2年度修論発表、発表者11名)

  • 共役骨格を含む非晶質共有結合ネットワークの合成と機能開拓
  • 防氷に向けた氷核生成及び結晶成長プロセスの解析
  • WO3量子ドット光触媒を用いたベンゼンからフェノールの高選択的合成
  • 実験主導マテリアルズインフォマティクスによるリチウムイオン二次電池新規有機負極活物質の効率的探索
  • サンゴの骨格構造の解析および類似構造体の作製
  • 層状ポリジアセチレンと刺激応答性材料の統合による外部刺激の可視・定量化
  • イネ科植物のバイオシリカのナノ構造解析及び類似構造体の作製
  • 機械学習を活用した収率予測モデルの構築によるナノシート材料の高収率合成
  • フッ素アパタイトナノロッドの自己集積による配向構造体の作製
  • Mg二次電池への応用に向けた超高比表面積MgMn2O4の合成
  • 磁性ナノブロックの配列制御と磁気特性の評価

卒論題目の例(令和2年度卒論発表、発表者10名)

  • ホタテガイの集光組織としてのグアニン集積体の解析と類似体合成
  • 環状ジアセチレン/ゲスト分子複合体による高感度な温度応答色変化を示す共役高分子の作製
  • 移流集積法によるナノキューブの大規模二次元配列の構築
  • マグネシウム二次電池正極活物質としてのスピネル型CuMn2O4の合成
  • ホネガイおよびウバガイの交差板構造の解析と成長様式の検討
  • フラン誘導体を組み込んだ非晶質共役高分子ネットワークの合成と水素発生電極触媒への応用
  • マテリアルズインフォマティクスを活用したナノシート材料による撥水表面の高効率な作製
  • WO3/In2O3量子ドット複合光触媒の合成と活性評価
  • 層状ポリジアセチレンとポリウレタンの複合による引張応力の可視・定量化

3年生へのメッセージ

−応用化学実験第2では
秋学期の応用化学実験第2では、C−6〜8で無機材料の合成と評価を体験します。材料合成においても目的物を得るためにいくつかのルートが存在します。ゾル−ゲル法、電気炉での高温の固相反応、熱分解反応、水溶液での合成を実験し、実際に光触媒活性試験やX線回折による測定と構造解析を行います。研究室に入ると、テキストはありません。実際にみなさん自身の手で、これまでに無い新しい材料、合成プロセス、機能の開拓を行ってもらいます。これまで達成されていない合成プロセスを発見したり、自身の手で作った材料が思わぬ機能性を発揮したり、予想外に精緻なかたちや構造をしていたり、論文として世の中に公表されることの楽しさを味わってほしいと思います。

−研究内容について
研究室選びにおいて有機系、無機系という分類がありますが、私たちはそういった分類にとらわれず、新しい時代へむけた新しい材料を創る研究を行っています。扱う材料に制限はなく、無機材料(金属酸化物、炭酸塩結晶、アパタイトなど)、有機高分子(結晶成長のコントロール、有機無機複合体の合成のため)、界面活性剤(無機材料構築の足場とする)、イオン液体、タンパク質などを扱っています。結晶成長、環境にやさしい水溶液プロセス、バイオミネラリゼーションを基盤技術として、分野の垣根を越えたこれまでに無い新しい材料の開発を行っています。たとえば、有機物を用いた環境にやさしい水溶液プロセスによって酸化スズナノ材料を合成し、構造制御を行うことで光電流の取り出しやリチウムイオン二次電池電極への応用に成功しています。その他にも、研究室のホームページや2〜3ページ目を参考にして、何の研究をしているのかをよく見たり、研究室見学をしてみたりして下さい。

−研究室の方針
研究は教員だけでも所属の学生だけでもできない協同作業です。よくディスカッションをしながら進めます。しかし、みなさんが社会に出て社会人・研究者として活躍できるために、自分で問題を発掘し・解決し・まとめて発表していく力を徹底して身につけてもらいます。欲張りですが、研究室での世界レベルの研究成果とみなさんが社会に出てからの世界レベルの活躍を両方追及したいと思います。学会発表や論文発表も積極的に行ってもらいたいと考えています。研究室に入るにあたって必須科目は何もありません、必要になった場面で必要な勉強を一生懸命して対応できる力をつけることが、みなさんの将来にとって重要なことです。

−研究室の見学希望
今井・緒明までメールにて連絡をいただければ、スムーズに見学できると思います。


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