1960年東京生まれ
1983年慶應義塾大学工学部卒業
日本酸素(株)を経て1999年より現職

学生時代は生物や環境に興味を抱くが、
くじ運悪く材料の世界へ。
ところが、性分にあったのかそのまま居付くことに。
国立研究所での優雅な研究生活、
会社での研究開発の破綻とリストラを経て大学に。
1999年に材料化学研究室・MC Factoryを旗揚げし、
現在、生物・環境・材料をキーワードに奮闘中。
   略歴・論文
   E-mail:hiroaki@applc.keio.ac.jp


●石器、土器、鉄器などの例を挙げるまでも無く、材料が人類の文明と密接に関わっていることは明白です。すなわち、新たな材料の開発が人類の文明を支えてきたといっても過言ではありません。現在進められているIT革命も半導体や光ファイバーなどの先端的な機能材料に支えられて初めて実現されるものです。21世紀に人類の幸福に寄与するキー材料は、環境・エネルギー・生体に関与する材料であるという観点から、MC Factoryでは環境浄化材料や太陽電池材料、生体材料への応用をにらんだ研究を進めています。

●20世紀は大量エネルギー消費の時代でしたが、そのため地球環境に大きなひずみが生まれています。これに対する反省から、21世紀の技術は環境に親和したソフトなものであることが要求されています。MC Factoryでは、化学の力を用いたソフトなプロセスによって機能材料を開発することを大きな目標としています。 そのための手段が「生物模倣プロセス」と「自己組織化」です。

●生物は室温大気圧という環境において大変精密な構造体を作り上げることができます。無機材料と言う観点で見ても、貝殻、骨、ケイ藻などのミクロ〜マクロに精巧にデザインされたセラミックスが合成されています。このような生物の持つ構造やその合成プロセスを模倣することにより、総合的にデザインされた高い機能を持つ材料がエネルギーを浪費することなしに合成することが可能になります。

●世の中に存在するさまざまなパターンは非平衡開放系における「自己組織化」という現象の表れです。自動的に秩序ある構造を作り上げる「自己組織化」のメカニズムを明らかにすることによりミクロ〜マクロに至る精緻な階層構造を機能材料で実現することができるようになります。