結晶成長   アパタイト   バイオミネラル   エネルギー材料  
ナノブロック   シリカ・量子ドット   低次元ナノ材料   有機結晶・高分子

研究背景

 金属酸化物は、ナノサイズ化による特異な物性の発現、表面積の増加、量子サイズ効果の発現などから、ナノメートルスケールの構造制御に注目が集まっている。ナノ材料は、形態によってナノ粒子や量子ドットと呼ばれる0次元ナノ材料、ナノチューブやナノワイヤーといった1次元ナノ材料、ナノプレートやナノシートといった2次元ナノ材料に分類され、盛んに研究されてきた。当研究室は、溶液プロセスに基づき、これらのナノ構造の制御とそれによる機能開拓を行っている。

研究成果

 モノレイヤーは、厚さナノメートルスケールの原子層の厚さを持つ2次元ナノ材料である。その作製は、層状化合物の層間イオンの交換による水系あるいは極性有機媒質への単層剥離が一般によく研究されている。しかし、モノレイヤーの側面サイズの制御や非極性有機媒質中への分散性の制御は十分に検討がなされてこなかった。そこで当グループでは、層状化合物の側面サイズに着目し、水溶液合成により粒径2〜5 nmの層状構造を有するナノ粒子を作製した。ナノ粒子を既存の手法により単層剥離することで、厚さサブnm、側面サイズ数nmの単層ナノドットの作製に成功した。また、層状化合物の層間に疎水性分子を導入した複合体を作製した。その複合体を非極性有機媒質に浸漬することで、層間のアルキル鎖と媒質との疎水性相互作用により単層剥離を誘起させ、疎水性無機-有機複合ナノシートの作製にも成功している(図1)。

図1 モノレイヤーの作製

 複数の層が同心円状に積み重なった同軸構造は、コア/シェル構造・1次元形態を併せ持っている。この構造は、構成物質間の広い界面、異方的なキャリア輸送、効率的なキャリア収集等の特長を持ち、優れた特性を示すことが期待される。当グループでは、n型半導体の酸化亜鉛ZnOナノワイヤーを合成し、その表面をp型半導体のポリピロールPPyでコーティングすることで、ZnO/PPy複合同軸ナノ構造(図2)を作製した。光導電デバイスとしての機能に着目し、光照射時と暗時での電流電圧曲線を測定したところ、104オーダーという非常に高いon/off比を示した(図3)。

図2 ZnO/PPy複合同軸構造

図3 光照射/暗時のon/off比