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 応用化学科 3年生の皆さんへ 
■研究室の見学について
 
2017年11月8日(水)13:30に、研究室の説明会・見学会(2時間程度)を開催します。参加希望者は、磯部あてにメールでご連絡ください。


■研究テーマ

 発光する材料「蛍光体」を研究テーマにしています。蛍光体は、私たちの身近で利用されています。例えば、ディスプレイや照明は生活に不可欠です。私たちの研究室では、ディスプレイ・照明に加え、太陽電池、医療応用(生体分子検出・イメージング用途のプローブや検出器)、セキュリティーなどの新しい用途へ展開できる期待をもつ蛍光ナノ材料を研究開発しております。

 白色の光は、青色と黄色の光、または、青色(B)・緑色(G)・赤色(G)の光から作り出すことができます。青色発光ダイオード(LED)が開発されて以来、青色の光を吸収して黄色、緑色や赤色の光に変換する蛍光体が求められています。当研究室では、このような蛍光体としてYAG:Ce3+ナノ粒子を開発しました。現在、さらに量子ドット(Quantum dots, QD)とよばれる蛍光体の研究に力を入れています。新しい量子ドットディスプレイでは、広い表示色域を可能とする広色域ディスプレイが実現できることから、量子ドットは非常に注目されています。

 蛍光灯のような従来の照明では、紫外線の光を可視光へ変換して白色の光が作られています。しかし、紫外線を可視光へ変換するよりも、青色の光を黄色、緑色や赤色の光に変換する方がエネルギーの損失が小さくなります。このため、省エネルギー化を進めるために、青色LEDと蛍光体を組み合わせた白色照明が急速に普及しています。当研究室では、白色照明用途で活用できる蛍光体の研究にも力を入れています。

 太陽電池は、すべての波長の太陽光を有効に活用できていません。たとえば、結晶シリコン太陽電池モジュールでは、近紫外光領域の感度がとても低いことが問題となっています。当研究室では、近紫外線を可視光や近赤外線に変換する蛍光体を太陽電池に組み合わせて光電変換効率を向上させることを検討しています。太陽電池上部に蛍光体層を導入する場合、感度の高い可視光を透過する蛍光体層、つまり見た目には透明に見える蛍光体層が求められます。当研究室では、このような蛍光体層を実現できる蛍光ナノ粒子や蛍光ナノシートの研究開発を進めています。

 紙幣、パスポート、クレジットカードなど身近にあるものには、見た目にはわからないように蛍光体が塗られています。これは、偽造防止などのセキュリティーを目的として蛍光体が応用された例です。そのほかに、飲料用の缶、配達される郵便物などにも見た目にはわからないように蛍光による識別コートが印刷されています。ブラックライト(UVランプ)を使って、いろいろなものに紫外線を当てると上記の例に気がつきます。当研究室では、見た目に透明な蛍光ナノ粒子や蛍光ナノシートの研究を先導しています。

 炭素材料は世の中には非常に豊富に存在します。有機物を不完全燃焼すると、炭すなわちカーボンが得られます。当研究室では、水に有機物を溶解し、耐圧容器(オートクレーブ)中で熱分解し、ナノサイズのカーボン(カーボンドット)を作製することを研究しています。このカーボンドットは、紫外線を吸収し、多くの場合は青色に光ります。しかし、緑色や赤色に光るカーボンドットも発見されています。カーボンドットは、バイオイメージングの蛍光プローブや、特定の金属イオンのセンシングに応用できることが報告されています。一方、まだなぞの多い材料であることから、当研究室ではカーボンドットの基礎研究に取り組んでいます。

■研究材料
 材料の形態は、ナノドット(球状ナノ粒子)、ナノシート、コア/シェル、コンポジット(複合材料、例えば高分子とドットとの複合や、ドットとナノシートとの複合)などを取り扱っています。発光の効率を高めるために、ナノドットの微細構造をコア/シェル構造にしたり、発光イオンを均一に分布させたりする方法を検討しています。また、ナノ材料は周囲の環境の影響を受けて劣化しやすいため、発光の安定性を高めることも検討しています。

 研究材料は、下記の4つに大きく分類できます。
@ディスプレイ・照明応用材料: 
   量子ドット(半導体ナノ粒子) CuInS2 InP など
A太陽電池応用材料: 
   ナノシート蛍光体 Y2O3:Bi3+,Eu3+ Y2O3:Bi3+,Yb3+
   銀ーゼオライトコンポジット など
B医療・イメージング応用材料: 
   アップコンバージョンナノシート蛍光体 
   ミクロスフェア蛍光体 YBO3:Ce3+,Tb3+,Eu3+ 量子ドットーシリカコンポジットなど
C未開拓な材料: 
   カーボンドット など

ひとりひとりが全員異なる研究テーマに取り組んでいますが、それぞれ少しずつ関連する部分を含みますから、お互いに協力し合いながら研究を進めています。これまでの研究テーマに関しては研究紹介ビデオを参考にしてください。

■研究室が求める人材
@早起きで生活リズムが整い健康的な人
A整理整頓・きれい好きな人
Bマテリアルの科目を学習した人
C発光材料に興味のある人
D大学院に進学して研究したい人
E教員・仲間と仲良くできる人

実験を集中して、そして、安全に行うために、健康的に生活することは不可欠です。そして、毎日、実験を少しずつ地道に積み上げていくことが大切です。

上述のような研究テーマを取り扱っていますので、当研究室へ配属を希望する方は、無機化学・物理化学の基礎をマスターし、磯部が担当するマテリアルデザイン概論2をはじめとするマテリアルにかかわる科目を履修し、とくに発光材料に興味を持っている方に適しています。(なお、応用化学実験Aの担当テーマと、研究室の研究テーマとは、直接あまり関係がありません。)

■学部で卒業する場合
 就職活動に充てた時間は、夏休み、土曜日、夜間を研究の時間に振り当て補っていただきます。就職活動する場合は、アルバイトや部活動はある程度制限されることになりますので、ご了解ください。1週間に2回輪講を行っています。輪講は必修の科目でありますから、就職活動での欠席を認めていません。

■研究室の環境
 学生の皆さん方が安全・安心して研究室で過ごすことができるように、居室と実験室は完全に分かれた環境になっております。

 実験室は整理整頓され、研究設備もたいへんよく整っています。ナノ粒子を合成するための耐圧反応装置、ナノ粒子の大きさ・比表面積・表面電位を測定する装置、結晶構造を評価する装置、ナノ粒子表面に吸着した有機物を分析する装置、ナノ粒子の光吸収・蛍光特性を評価する装置、太陽電池の特性を評価する装置などが用意されています。恵まれた研究環境であることは、研究室の見学やウェブメニューの研究室ツアーをご覧いただくとおわかりになると思います。このような環境が整備できた理由は、研究室の研究成果が認められ、多くの機関が研究を支援して下さったためです。また、透過型・走査型電子顕微鏡、ラマン分光、電子スピン共鳴などの大型の分析装置は、中央試験所で予約して利用することが可能です。

■卒業生の進路
ソニー・パナソニック・コニカミノルタ・東芝・リコー・富士ゼロックス・スタンレー電気・ルネサステクノロジ・トヨタ自動車・豊田自動織機・日本ペイント・関西ペイント・大日本印刷・東京ガス・三菱マテリアル・日本化薬・JT・日清エンジニアリング・クボタ・JX日鉱日石エネルギー・住友化学・古河機械金属・東京応化工業・フジクラ・日揮・IHI・日本ユニシス・カシオ計算機・日本技術貿易・東北大学・産業技術総合研究所など

■研究スキルの向上を目指して
 研究室で充実した生活を過ごし、ある程度まとまった研究成果を達成するためには、修士課程へ進学することをお勧めしております。とくに、メーカーの技術職へ就職することを希望される場合は、修士課程を修了することが必須と考えた方がよいと思います。コンサルタント、金融、総合商社などの文系就職においても研究に従事した経験が評価されます。外資系では修士の学位がアピールポイントになります。
 就職して行う仕事は、研究室の研究と直接関係があることはまれです。このため、研究室では将来にわたって役立つ基礎を身についてほしいと願っています。したがって、研究のスキルを磨くことも大切ですが、一方で、自分の考えていることを相手に伝える作文能力・プレゼン能力を磨くことに力を入れています。そして、グローバルな活動に必須である英語でのコミュニケーションにも力を入れています。修士課程修了までに、国際学会での発表、英語での論文執筆を目指して指導しています。

■研究室の志望理由書の書き方
 与えられた紙面は、十分に活用して自分自身をアピールしてください。つぎのような項目に分けて、わかりやすく、読みやすく、魅力的な理由書を、よく練って作ってみてください。

@大学入学後に力を入れて勉強した分野(必修科目だけでなく、どのような選択科目を履修し、勉強し、興味をもったか? 磯部教授が担当するマテリアルデザイン概論2を履修したか? 応用化学科パンフレットの履修科目の系統図を意識して、マテリアル関連の科目を選択したか? など)

A当研究室を第1希望として選んだ理由(@を踏まえて研究室を選択したか? 上記の「研究室が求める人材」と合致するか? 研究室を事前に見学したか? 見学してどのような印象を持ったか? 応化懇親会などで磯部や磯先生と個別に話をしたか? など)

B卒業研究でどのような研究に取り組みたいか?(研究室見学・説明会での話を聞いて、あるいは、ホームページやYouTubeの動画を見て、どのような研究に興味を持っているか?)

C今後の進路について(大学院まで進学して自分の研究テーマを発展させていきたいか? それとも、学部で卒業して就職したいか? など)

■磯部教授の経歴
 磯部教授は、米国とフランスでそれぞれ1年間の訪問研究員としての留学経験を持っています。米国・テネシー州のナシュビルではVanderbilt大学およびOak Ridge National Laboratoryでシリカガラスへニッケルイオンを加速して注入した材料に関する研究を行いました。フランス・パリではESPCI (Ecole Superieure de Physique et de Chimie Industrielles de la Ville de Paris)でアパタイトナノ粒子およびアモルファス水酸化アルミニウムを固体核磁気共鳴分析によって解析する研究を行いました。現在の研究とはかなり異なる経験を積んで広角的な視野で研究を進めています。また、フランスへはその後3名の学生さんを派遣することができました。一方、フランスから3名の学生さんを協定研究生として受け入れました。
 磯部教授は、日本の蛍光体分野を先導する「蛍光体同学会」において、長年、幹事を務め、講演会の企画・運営に貢献しています。また、磯部教授は、これまで下記の3冊の蛍光体の書籍を監修者として取りまとめています。@とAは、理工学メディアセンターに所蔵されています。
@「ナノ蛍光体の開発と応用」(2007年8月発行)(さらに普及版が2012年11月発行)
A「波長変換用蛍光体材料 −白色LED・太陽電池への応用を中心として−」(2012年8月発行)
B「次世代蛍光体材料の開発」(2016年7月発行)

■磯部研究室の学生の活躍
<学会での受賞>
2015年7月 Kohei Yano 「Phosphor Safari 2015 Best Poster Award: International Symposium on Phosphor Materials 2015」
2011年9月 磯 由樹 君 「第24回日本セラミックス協会秋季シンポジウム 研究奨励賞」
2010年11月 Kenji Akisada, Yusuke Noguchi, Tetsuhiko Isobe 「The Poster Award: The 3rd International Congress on Ceramics (ICC3) Symposim 5 "Hybrid and Nano-Structured Materials」
2010年3月 竹下 覚 君 「第27回応用物理学会 講演奨励賞」
2008年5月 朝倉 亮 君 「日本分子イメージング学会 優秀発表賞」
2007年9月 草山 育実 君 「第22回応用物理学会 講演奨励賞」
2006年9月 Wakana Kichikawa, Fumiaki Nishimura, Tetsuhiko Isobe 「Best Paper Award: The International Union Materials Research Society − International Conference in Asia 2006 (IUMRS−ICA 2006)」

<学内での受賞>
2016年3月 慶長 泰周 君 藤原賞, 慶應義塾大学理工学部/大学院理工学研究科 藤原奨学基金運営委員会
2015年3月 磯 由樹 君 総合デザイン工学専攻 優秀研究活動賞(博士) 
2011年3月 竹下 覚 君 総合デザイン工学専攻 優秀研究活動賞(博士)
2010年 2月 竹下 覚 君 理工学研究科 国際会議論文発表奨励賞
2009年3月 竹下 覚 君 総合デザイン工学専攻 優秀研究活動賞(修士)
2008年3月 粕谷 亮 君 総合デザイン工学専攻 優秀研究活動賞(博士)
2007年7月 朝倉 亮 君 理工学研究科 国際会議論文発表奨励賞
2007年3月 竹下 覚 君 慶應義塾大学 義塾賞(表彰学生)
2007年3月 草山 育実 君 応用化学科 慶應応化進歩賞
2005年12月 粕谷 亮 君 理工学研究科 国際会議論文発表奨励賞
2005年6月 粕谷 亮 君 理工学研究科 国際会議論文発表奨励賞
2004年3月 三木 拓朗 君 機能創造理工学専修 機能創造賞

■博士号取得
 将来、一人前の研究者になり、グローバルに活躍したいという高い志をお持ちの方は、当研究室で博士号を是非取得してほしいと願っています。当研究室で博士課程へ進学した方の多くは、日本学術振興会の特別研究員などに採用され、経済的なサポートを受けながら、研究に専念できています。

<過去の採用実績>
2014年4月〜2015年3月 磯 由樹 君 日本学術振興会特別研究員(DC2)
2013年4月〜2014年3月 磯 由樹 君 慶應義塾大学大学院理工学研究科 助教(有期・研究奨励)
2011年4月〜2012年3月 竹下 覚 君 日本学術振興会特別研究員(PD)
2009年4月〜2011年3月 竹下 覚 君 日本学術振興会特別研究員(DC1)
2008年4月〜2009年3月 朝倉 亮 君 日本学術振興会特別研究員(DC2)
2006年4月〜2008年3月 粕谷 亮 君 日本学術振興会特別研究員(DC1)


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Last Update : 17/09/12