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ナノ蛍光体における低温液相合成法の重要性

ソルボサーマル法
 ソルボサーマル法は、圧力容器中に溶媒と原料を投入し、沸点度以上まで昇温し、容器内の圧力が大気圧以上の条件で、粒子を合成する方法です。水を溶媒とするソルボサーマル法は、水熱合成法として広く知られていますが、有機溶媒を用いたソルボサーマル法に関する研究は十分とは言えず、可能性を秘めた合成法と言えます。当研究室では、水とアルコールとの混合溶媒を用いたソルボサーマル法によって、LaPO4:Ce3+,Tb3+ナノ蛍光体を合成しています。


グリコサーマル法
 配位能力の高い溶媒分子中でのソルボサーマル法はナノ粒子の合成法として次のような利点があります。  
・多くの場合、300℃以下の比較的低温で高結晶性の生成物が得られます。(後処理として焼成を必要としません。)

・生成した粒子に溶媒分子が配位して、凝集を抑制し、均一な大きさのナノ粒子が得られます。

・溶媒分子は粒子表面に配位し、表面を不動態化し、発光効率を増大できます。

・コロイド分散液として回収できます。(蛍光体粒子を製膜して応用する場合などに有利です。)
 特に、配位溶媒としてグリコールを利用したソルボサーマル法は、グリコサーマル法と呼ばれています。当研究室では、グリコサーマル法によってY3Al5O12:Ce3+(YAG:Ce3+)、 MgGa2O4:Mn2+、ZnGa2O4:Mn2+などの酸化物ナノ蛍光体を合成しています。

 
ポリオール法
 ポリオール法は、沸点の高いOH基を持つ溶媒(グリコールなど)に原料を投入し、沸点以下の温度まで加温してナノ粒子を得る方法です。特に、配位能力の高いOH基を持つ溶媒分子はキレート化剤として働き、粒子表面に配位し、粒子の成長を抑制します。また、適当な溶媒を選択すれば、分散安定剤を添加しなくても、良好な分散が得られます。当研究室では、ポリオール法によるY2O3:Bi3+,Eu3+などのナノ蛍光体の合成を報告しております。

超臨界ソルボサーマル法
 超臨界流体はその流体固有の臨界点を超えた流体であり、密度が希薄な状態から濃厚な状態まで連続的に変化させることができます。低密度の超臨界流体では溶解力が低下します。また、極性溶媒が臨界点を超えると、その誘電率が急激に低下します。このため、超臨界流体では、溶解している成分(前駆体)は高い過飽和状態となるため、瞬時に一斉に析出して、均一な粒径のナノ粒子が生成します。当研究室では、エタノール溶媒の超臨界ソルボサーマル法によるZn2SiO4:Mn2+ナノ蛍光体の合成を報告しております。

逆ミセル法
 ナノサイズの反応場を利用すると、粒子が成長できる大きさが制限できるので、容易にナノ粒子を生成できます。また、量子サイズ効果を示すナノ蛍光体の特性を正確に調べるには、粒度分布の幅が狭いナノ粒子を、凝集せずに孤立・分散した状態で生成することが重要です。その最も優れた方法のひとつとして、逆ミセル法(マイクロエマルション法)があげられます。逆ミセルとは、親油性溶媒に少量の水(親水性溶媒)と界面活性剤を添加して、水滴(ウォータープール)の周囲に形成される界面活性剤の球状集合体のことであり、water in oil (w/o)マイクロエマルションとも呼ばれています。

 金属イオンを含む逆ミセル溶液と陰イオンを含む逆ミセル溶液とを混合すると、2つの逆ミセルが衝突して会合し、逆ミセル間で異なるイオンが相互に拡散・混合し、ナノ粒子が生成します。逆ミセルの会合・解離が繰り返して起こり、粒子が一定のサイズまで成長します。逆ミセルを形成する代表的な系には、ビス(2-エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム(Na(AOT)) 、水とn-ヘプタンとの組み合わせがあげられます。 AOTに対するH2Oの濃度比を変化させると、ウォータープールの大きさをナノメータースケールで制御できます。得られたコロイド溶液は透明に見えます。さらに、逆ミセル法を利用すると、ナノ粒子を生成してから、種々の表面修飾を容易に行うことができます。当研究室では、ZnS:Mn2+ナノクリスタルを含む逆ミセル溶液にテトラエトキシシランとアンモニア水を添加して、ZnS:Mn2+/SiO2コア/シェル型ナノ粒子を作製しています。



共沈法(その場修飾共沈法)
 共沈法はZnS:Mn2+のような金属硫化物ナノクリスタルの最も簡便な合成方法です。共沈法では、金属の酢酸塩などを溶解した溶液と硫化ナトリウムなどを溶解した溶液を混合してナノクリスタルを生成します。その際、あらかじめ表面修飾する有機分子や分散安定剤を反応場に投入しておき、ナノクリスタルの生成と同時に表面修飾を施すのがよいです。凝集せずにナノ粒子を分散できると、透明に分散した溶液も得られます。共沈法では、局所的に不均一な析出が起こるので、コロイド溶液を加温または沸騰させて熟成し、発光イオンをなるべく均一にドープさせることが効果的です。当研究室では、メタクリル酸、アクリル酸やポリアクリル酸などのカルボン酸を修飾したZnS:Mn2+ナノ蛍光体を世界に先駆けて報告しております。

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Last Update : 11/09/16