3.活性炭繊維シートを用いた平行板型拡散スクラバーによるVOCs除去処理技術

 活性炭繊維を用いた“拡散スクラバー法”による有害ガス除去処理の原理を下図に示す。2枚の活性炭繊維シートの狭い隙間に汚染空気を流すと、拡散係数の大きいガス成分は拡散して活性炭繊維シート表面に到達し、活性炭細孔に吸着して除去される。
 “拡散スクラバー法”は平行板の狭い隙間に汚染空気を通気させるので、“ろ過”とは異なり、通気抵抗が極めて小さい。従って、通気抵抗の大きい“ろ過”により汚染空気中の有害ガスの除去を行う従来の空気清浄技術に比べて、大容量の汚染空気を処理することができる。

 

 活性炭繊維シートを用いた平行板型拡散スクラバー基本ユニットの仕様と平行板型拡散スクラバーの写真を下左図に示す。活性炭繊維シートを用いた平行板型拡散スクラバーは、二枚の活性炭繊維シートの基本ユニットを233層、上下2段に箱に配置した簡単な構造からなる。二枚の活性炭繊維シートの間には、空気を流すためにスペーサーが挿入されており、1.1mmの隙間が確保されている。本除去装置に、通気流量:200m3/hで空気を流した場合、通気抵抗は50Paと極めて低く、写真に示すコンパクトな本除去装置(外寸:40×40×12(奥行)cm)で、数百m3/hと言った大容量の汚染空気中のVOCを除去することが可能である。
 Benzene、Toluene、p-Xyleneの除去効率の経時変化を下右図に示す(通気流量100m3/h)。VOC除去実験の開始後2時間経過しても、除去効率の低下は認められず、Benzene、Toluene、p-Xyleneについて、ワンパスで90%以上の高い除去効率が得られた。

 

活性炭繊維シートを用いた平行板型拡散スクラバーによる
混合VOC除去実験における除去効率の経時変化
入口濃度: Benzene 414.5ppbv,Toluene 887.1ppbv,
p-Xylene 484.4ppbv,通気流量:100m3/h
 


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