4.拡散スクラバー法を用いた空気清浄技術の特徴とその応用

 “拡散スクラバー法を用いた空気清浄装置”の優れた特徴を以下に記す。
@多孔質テフロン膜を用いた単純な構造の装置であること。
A単なる水を除去液として使用し、 その水処理技術も既存のイオン交換樹脂を採用でき、 省エネルギー・ランニングコストの面で優れていること。
B除去できる有害ガス成分の応用範囲が広いこと。
C清浄できる空気の処理量が極めて高いこと。
D装置の構造がシンプルであり、 既存の空調設備に簡単に組み込めること。
 この様な優れた特徴を持つ本空気清浄装置は、下図に示す様々な生産・生活環境での空気 汚染物質の除去処理対策技術として用いられることが期待でき、その市場性は極めて多岐に渡り、 将来的には幅広い分野に本空気清浄装置が普及する事が期待できる。
@発癌性物質でありシックビルディング症候群の原因となるホルムアルデヒド等の室内空気汚染 物質の除去処理
A半導体製造のクリーンルーム等での有害ガス(HF、HCl、HNO3、NH3)の除去処理
B生ゴミ処理・トイレ・病院での悪臭(NH3、カルボン酸、メチルアミン)の除去処理
C美術館内での美術品に被害をもたらすアンモニアの除去処理

図 生産生活環境における空気清浄システムの応用例
 

 一方、日本をはじめとして世界各国の大都市圏で長年の問題となっているトンネル ・地下駐車場等の自動車排出ガス(窒素酸化物・VOC)の汚染問題(具体的には、下図に示す@自動 車トンネル、A地下駐車場、B建設・工事車両(群小固定発生源)での窒素酸化物・VOCの汚染を解 決するために、光触媒の酸化チタン(TiO3)とガス吸着剤のヒドロキシアパタイト(HAP)とを混合 した“光酸化・分解法”と、簡便な装置による有害ガス成分の画期的な除去方法である“拡散スクラ バー法”とを組み合わせ、大容量の空気中のppm濃度レベルの窒素酸化物・VOCを濃縮することなく、 下図に示す様に流したまま連続的に除去・処理できる技術の開発を検討している。開発する技術は、 低コストな装置であり、エネルギー消費が少なく、循環効率的なものであることは言うまでもない。 現在、都市地域でのトンネル・地下駐車場等の自動車排出ガスは、換気口よりそのまま大気中へ放出 しており、これは周辺への大気汚染を拡散することになりかねない。従って、開発される技術は今後 も引き続き都市地域で問題となる自動車排出ガスによるトンネル・地下駐車場等の局所的汚染問題の 本質的な解決となることが期待できる。
具体的目標を以下に記す。
1)トンネル・地下駐車場等の数ppmレベルの自動車排出ガス(窒素酸化物・VOC)を環境基準0.04〜0.06 (1日平均値、窒素酸化物)以下に低減できること。
2)最初は、空気処理量(100m3/h、8畳の部屋の空気を20分間で処理できる)の比較的小さい装置を開発 し、研究の後半ではそれを基に装置のスケールアップをはかり、1万m3/hの空気処理を有する装置を開発すること。
3)連続的に長期間自動車排出ガス(窒素酸化物・VOC)を循環効率的に除去処理できること。又、除去 処理のためのエネルギーコストの低減のために、並行して自然光の利用ができること。
(又、VOCとしては、自動車が主たる発生源となるベンゼン、トルエン、ホルムアルデヒドを具体的な対 象とする。)

 

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