寺坂研のやさしい研究紹介(応用化学科3年生向け)



初心者向けのやさしい化学工学
化学工学って何?という皆さん向けに身近な例で化学工学を説明しましょう。

 応用化学科では無機材料化学や有機合成化学などでたくさんの化学反応式を習います。でも学生実験のときみんな同じ教科書どおりに試薬を調合したはずなのに、うまく反応した人、失敗した人、中途半端だった人、いろんな違った結果がでるのは不思議だと思いませんか?これって、そのときの運とか確率のせいにしていませんか?こんなことでは、もし実用化して「商品」を製造するときたいへん困ります。
 実はこれを解決するには化学工学の知識が必要なのです。

簡単な例で考えて見ましょう。
皆さん、アイスコーヒーを作ったことがありますか?これを化学反応に例えると下のようになりますね。
カップ コーヒー粉末 ホットコーヒー
ホットコーヒー ガムシロップ ミルク アイスコーヒー

 この方法で果たしていつも同じ味の美味しいアイスコーヒーができるでしょうか?
 答えは「NO」です。まず美味しいホットコーヒーを作るには「水」じゃダメですよね。これではコーヒー粉末が溶けません。コーヒー粉末の溶解度は水温が高いほど大きいことを知っていれば、「水」を温めて「お湯」にする必要があります。かと言って熱湯では風味が飛ぶかもしれませんね。
 さてでは、出来た「ホットコーヒー」に氷とガムシロとミルクを入れれば美味しいアイスコーヒーは出来るでしょうか?
 答えは「NO」です。ホットコーヒーに氷やシロップを入れるだけだと、氷は比重が小さいのですぐ液面に浮いてしまいます。ガムシロは比重が大きいので底に沈んでしまいます。このまま飲むと、ぬるくてしかも飲み終わりにすごく甘い味がするアイスコーヒーになってしまいます。
 ではどうすればいいのでしょう?
 答えは「よく混ぜる」です。シロップもミルクもコーヒーへの溶解度は一定ですが、スプーンで混ぜる(攪拌といいます)と溶解速度が格段に速くなるのです。さらに氷の溶解速度も速くなります。溶けた分だけコーヒーは冷えていきます。
 この違いは化学反応の違いじゃないですよね?コーヒー粉末も水も氷もシロップもミルクも適量使ってますが、お湯を使うか(溶解度制御の技術)、良く混ぜるか(混合技術)、すばやく冷やすか(熱移動の技術)、さらにはコップを紙コップにするか磁器のマグカップにするか(反応装置工学)でも味は違ってきます。
 こんな分野の研究を行い、化学が実際に役に立つように貢献しているのが化学工学です。
イメージが湧きましたか?
 さて、そうすると皆さんが机の上で学んだり、小さな試験管の中で試していることが、社会で役に立つようにするには、まだまだかなり多くのテクノロジーが必要だということに気がつくでしょう。



化学工学研究室でとりくんでいる研究とは?
 では上で説明したことを踏まえ、本研究室の学生メンバーたちが今まさに取り組んでいる研究例および新4年生に取り組んでもらいたい研究テーマ例をいくつか紹介します。
ファインバブルの国際標準化のための研究
 「ファインバブル」の国際標準規格制定は日本の国家プロジェクトとして現在重要な段階に入っています。寺坂研究室は、「ファインバブルの研究の国際拠点」として活動しています。寺坂研究室で取得された実験データは日本でいえば「日本工業規格JIS」に相当する世界の工業規格である「ISO」に採用される可能性が極めて高くその重要性は非常に高くなっています。
ウルトラファインバブル水の安定性の研究
 ウルトラファインバブルは静かに静置された環境では数か月以上にわたって安定に貯蔵できます。一方である程度の刺激を与えると破壊されて、各種の機能を発揮します。そのメカニズムの解明はさまざまな工業的用途に利用できます。
超音波とウルトラファインバブルを利用した反応触媒効果の研究
 ウルトラファインバブルに超音波刺激を与えるとラジカルを発生して反応速度を増加させます。このメカニズムを明らかにする研究を行います。
マイクロバブルを含んだ機能性材料の開発
 マイクロバブルは液体中を浮遊する気体ですが、マイクロバブル表面に高分子の殻や金属の殻を付けた新しい材料の開発を行っています。また、リポソームやミセルにマイクロバブルを封入する技術を開発しています。医療分野への応用や新規な反応プロセスの開発に挑戦します。
ウルトラファインバブル洗浄効果の解明
 マイクロバブルの100分の1程度しかないウルトラファインバブルにははその存在の解明が困難です。しかしすでに道路の洗浄などに成果をだしています。そこでその洗浄のメカニズムを解明します。
またファインバブルは国際標準規格(ISO)になりますが、その研究は寺坂研が担っています。
オゾンマイクロバブルによる環境浄化や水処理
オゾンマイクロバブルの活用を検討しています。廃水処理で余剰になった汚泥処理、水の浄化によって飲料水として再生、各種雑菌を殺菌などの応用があります。
マイクロ流路内でのマイクロバブルの収縮
 マイクロバブルの収縮現象をマイクロチャネル内で観測し、そのメカニズムを研究します。
コンピュータシミュレーションを利用した装置開発
 寺坂研究室ではマイクロチャネルや気泡塔などの化学反応器の設計にコンピュータシミュレーションを駆使したアプローチを行っています。実験ではなしえない微小空間や巨大空間内の現象をよそうできることはコスト面でも安全面でもたいへん有意義です。
化学工業への貢献
 本研究室ではさまざまな気体と液体が関わる工業装置の研究開発を行っています。こうした装置開発は実際の産業においてきわめて重要です。これまでに培った有効な技術や知識を企業との共同研究のなかで実現化を図り、学生にも企業との共同作業のなかで実社会の厳しさを体験してもらいます。福澤先生の実学の精神を具現化する研究を行っています。
 国際共同研究と研究留学(交換留学)
  寺坂研は、ドイツのハンブルク工科大学(シュルーター教授)あるいはカナダのダルハウジー大学(アルタビール教授)の研究室と共同研究を行っており、毎年各1名の大学院生を研究留学させています。派遣された留学生は、単なる語学留学や講義を受講するだけの留学ではなく、共同研究プロジェクトを現地で実施します。すでに日独共同研究プロジェクトが進行中で、現在日本-ドイツ-カナダの3か国による国際コンソーシアムが設立準備中です。

研究室見学を希望している3年生の皆様へ
 応用化学科4年次で卒業研究をとりくむ研究室や指導教授を的確に選ぶには、なによりも自分自身の目でみて、研究室の人々に会って話をしてみることが重要です。研究の内容だけでなく研究室のフィロソフィ、先生の考え方やスタイルが自分とあっているか、それを見極めて有意義な研究生活をすごしてください。
 とくに寺坂研では日本政府、民間企業あるいはドイツやカナダの大学との共同研究を積極的に進めており、毎年ドイツの大学に大学院生を1名派遣しており、今後皆さんにもドイツやカナダへの留学のチャンスがあります。さらに国際学会などでの成果発表にも学生を派遣しています。

 
本研究室には「引っ込み思案な方」「コミュニケーションが苦手な方」「自分ひとりで集中して勉強や研究をしたい方」全く向いていません。また「アルバイトや部活や就職活動を優先したい方」「文系就職を考えている方」全然歓迎しませんたいへん重要で責任のある研究を行いますので「大学院に進学を決め3年間を研究に費やせる学生」向いていますまたドイツとカナダに寺坂研からの「研究留学」を推進していますので「国際共同研究に関心の高い学生」を募集しています。
 
将来国際的なリーダーとなって活発にコミュニケーションをとりつつ、プロジェクトチームを率いたい方にお勧めの研究室です(塾員来往のページが参考になります)。ミスマッチはお互いに不幸ですのでよく自分自身を見直して、ぜひ上記に当てはまる元気いっぱいの学生を歓迎しています。これまでの成績の優劣はケミカルエンジニアの能力とはほとんど関係ありません。
 寺坂研究室への配属を希望している方は
必ず「寺坂研究室見学会」に来てください。もし寺坂教授に直接会って話を聞いてみたい方は極めて忙しいので、メールでアポイントメントを取ってください。