3年生へ

3年生へ

研究室を選ばれる3年生へのメッセージ

 我々の身の回りには、様々な機能材料があります。このような機能材料は、社会からさらなる性能の向上が求められています。より高性能な機能材料を開発するには、合成研究と物性評価の研究を両立する必要があり、さらに機能設計の立場からもの作りできる技術者、研究者が必要です。

 有機機能材料化学研究室では、分子性化合物の特性を活かした近未来型の機能性材料の開発に取り組んでいます。研究室では、合成研究(=つくる)、分子配列制御(=ならべる)、機能物性評価(=はかる)の技術をバランスよく修得し、”機能をデザインできる合成化学者”を社会に送り出したいと考えています。

 ある時代の物質に対する常識は、永遠の常識ではないのです。例えば昔は、有機材料はすべて絶縁体と思われていましたが、”電気を流すプラスチック”は人類の知恵と英知で新しい材料となりました。20世紀の終わりになって、有機物は”強磁性”という新たな物性を獲得するに至りました。有機物の磁性体ができれば、これまでの”硬い金属”といった磁石のイメージも変わるのみでなく、医療・情報など様々な産業での応用展開が期待されています。研究室では、近未来の材料としてこの”磁気”に主眼をおいて、前人未踏の分子機能材料を世に送り出すことを夢見て日夜奮闘しています。

 また、地球規模の資源・環境・エネルギーが現実の問題として議論されるようになり、低環境負荷ならびにユビキタスな資源を活用した機能材料の開発は極めて重要なもののなりつつあります。これまで培ってきた安定有機ラジカルや金属錯体の設計技術を活用して電池などエネルギー関連への分野にも研究を展開したいと考えています。

このような機能設計のフィールドでは、ものを創る努力(=合成力)も不可欠ですが、測定を通して物質と”対話”できるスキルを身につけることも極めて重要です。若い皆さんの柔らかい頭から溢れ出てくるアイディア・発想は、無限の可能性を秘めています。”機能をデザインできる合成化学者”を志す皆さんとの出会いを楽しみにしています。 

有機機能材料化学研究室 教授  吉岡直樹