K2 タウンラボ −快適環境創造プロジェクト

 室内空気汚染への社会的関心の高まりから、現在、多数の空気清浄技術 の研究が行われております。
 しかしながら、問題の重要性に比較して、その多くの技術は、既存の化学フィルター法、 活性炭等の吸着剤による除去技術を単に転用したものが多く、実際に有害ガスの除去能力や 処理量が充分とは言えません。 一方、当環境化学研究室で開発してきました"拡散スクラバー 法"は、ガスの拡散を利用したガスの捕集法であり、例えば、多孔質のテフロンチューブに空 気を流すと空気中のガス成分は拡散し、テフロンチューブ内壁の孔を透過します。テフロンチ ューブの外側にガスを吸収する水等を配置しておけば、そのままガス成分を吸収することがで きます。又、空気中の粒子は、ガスと異なり拡散係数が小さいので、そのまま空気の流れと 共にテフロンチューブを通過します。従いまして、シンプルな多孔質テフロンチューブを用 いるだけで、粒子と分別して、空気中のガス成分のみを捕集することができる画期的なガス の捕集法と言えます。そして、"拡散スクラバー法"は、空気を濾過して処理を行うフィルター や活性炭等の吸着剤とは異なり、通気抵抗が極めて少なく、簡便な装置により連続的に大量の 汚染空気を処理できます。
 "拡散スクラバー法"によるガス成分の捕集の研究は、主に、環境計測技術として展開して 参りましたが、更に、"拡散スクラバー法"を用いた有害ガス除去処理技術を応用した新しい 空気清浄技術の実用化を目指して、ここ数年来、研究をすすめてきました。その研究成果が 認められ、平成13年度の「環境賞」優良賞(日立環境財団、日刊工業新聞主催、環境省後援) を受賞しました。又、平成14年から3ヵ年の計画で、文部科学省・大学発ベンチャー創出事業 である"快適環境を創造する室内空気汚染物質の高性能浄化装置の開発"の研究プロジェクトが 開始されました。従いまして、今後、住宅、ビル、トイレ、病院、美術館、クリーンルーム、 動物飼育舎等の様々な生活・生産の室内環境において、拡散スクラバー法による空気清浄技術が、 国内外で広く利用され普及することが期待でき、環境化学研究室による研究開発が社会に貢献で きるのではないかと考えております。


K2タウンラボの研究概要については こちら(テレビ神奈川による取材VTR)をご覧下さい。