FUJIHARA LABORATORY  
固体の機能設計 前半 大学院春学期 金曜5限 
 固体の機能発現メカニズムを理解するためには,結晶構造や電子の空間的分布・エネルギー準位などの固体の性質と物性との関係を把握することが必要です。固体は,化学的に結合した多数の原子系がつくる凝集状態ですが,その構造は原子配置の周期性により理解できます。これに対し,固体の電子・光物性は,電子的相互作用や混合原子価状態によって引き起こされる局所的な格子の歪み,欠陥や不純物の存在による周期性の破壊,超微粒子化による配位不飽和状態の増加,異種物質とのヘテロ接合など,種々の非対称性・異方性の場の発生によって誘起されます。本講議は,固体の機能発現を,化学結合,配位子場,格子振動,格子欠陥等の理論と関連づけて解説し,新機能創生のためのアイディアを学習します。 

(前半担当:藤原 忍)
 固体化学及び固体物理学の基礎的な部分,すなわち,化学結合,結晶構造,電子エネルギー準位,フォノン,格子の欠陥と歪み等を解説し,電子物性等,固体の機能発現メカニズムとの関係を理解することに重点を置きます。

 化学結合とバンド理論
 固体中の電子
 格子振動と熱的性質
 格子欠陥
 酸化物半導体の機能設計

 承知のように,無機化合物には,気体,液体および約2000℃までの範囲の融点を示す固体が含まれており,大部分の元素や化合物は室温で固体である。化学的な見地からは,原子どうしを結びつけている力のタイプで固体を分類するのが最も便利である。単純な固体の4つの重要な形式は,分子固体,イオン固体,共有固体,および金属である。

 これらの固体の特性(電気的・光学的・磁気的性質)の多くは固体内の電子の挙動に直接依存しており,固体の電子論を学ぶことがまず重要となる。「固体化学」の立場では,化学結合を基礎として,周期的な原子の並びへと発展させ電子構造を考える。これに対し,「固体物理」では,金属の自由電子モデルから周期ポテンシャル中の電子の波動関数を用いて議論する。こうして得られるのが,固体中の電子の運動を説明するバンド理論である。エネルギーバンドの準位と幅,バンドを占有する電子の数,およびバンド間のギャップとから,基本的な固体物性が理解できる。これに対し,実際の固体には様々な種類の欠陥や歪みが存在し,それがある種の特異な物性を生じさせる。我々がこれから「設計」していこうとする「機能」の起源はそこにある。