次世代の生命と環境を見つめる化学に挑む!
―ダブルメジャーから創生される新領域への挑戦―

21世紀は、「生命」と「環境」の時代と言われています。 そして、この二大分野に最も貢献できる科学が、分子を 自由に操ることのできる化学です。我々の研究室では、 こうしたエキサイティングでチャレンジングな化学に挑戦しています。

生命」を見つめる化学としては、自然界から見つかる優れた 生理活性物質と人の英知を結集して人工的にデザインする生体機能分子 を取り扱い、「化学」と「生物」を武器 に、これまでにない「超生物活性分子」 の創製を目指して、日々、研究に励んでいます。たとえば、抗ガン、抗ウイルス活性 などを有する天然生理活性物質を、人間が合成できる技術の開発と、その技術を応用した 生物機能改変による医薬品の開発への応用、また、ヒトゲノム解析の完了を受け、 生命の設計図であるDNA、さらに、その表現型のタンパクや糖鎖の持つ生物機能を 制御する人工設計分子の開発やその医薬品としての応用などを行っています。 このため、私たちの研究グループでは、有機合成化学から分子生物学、細胞生物学に至る幅広い知識 と技術を結集したこれまでにない新しい研究の場を作り出しています。 「新しい合成技術で、新しい物質を創製し、新しい生物機能を創造する。」 これを合言葉に、「化学」と「生命」の ダブルメジャーから創生される新たな領域に挑みます。

また、「環境」を見つめる化学としては、枯渇型資源である石油に代わり、 光合成によって再生産可能な次世代型資源である糖質を原料とし、有用な 生理活性物質や機能材料を創製する、環境にやさしい化学反応、プロセスの 開発に取り組んでいます。具体的には、有機合成反応に、これまでの金属試薬や ルイス酸などの環境高負荷型の触媒を用いず、取り扱いが容易で再利用が可能な 固体触媒有機光触媒を利用する新たな試みや、環境高負荷型の反応溶媒を用いず、 デザイン性を有し環境低負荷型のイオン液体超臨界流体などを利用するこれまで にない新しい有機合成反応の開発に取り組んでいます。「環境にやさしい原料から、 環境にやさしい合成技術で、環境と人にやさしい有用物質を創製する。」これを合言葉に、 「化学」と「環境」のダブルメジャーから創生される新たな領域に挑みます。

↑このページの先頭へ

現在の主な研究テーマ

1.人工酵素の開発と細胞内生体高分子機能の制御

・標的タンパク光分解用生体機能分子の創製と応用

・標的糖鎖光分解用生体機能分子の創製と応用

多くの疾病を含む生命現象に直接司っている生体高分子である特定のタンパクと糖鎖を、 特定波長の光照射によって、選択的に分解することのできる人工生体機能分子を、分子 デザイン、有機合成及び機能評価することにより、これまでにないバイオプローブ医薬品のリード化合物の創製を行います。

2.環境調和型有機合成反応の開発

固体酸を触媒とする環境調和型有機合成反応の開発

有機光触媒を触媒とする環境調和型有機合成反応の開発

イオン液体を反応媒体とする環境調和型有機合成反応の開発

超臨界流体を反応媒体とする環境調和型有機合成反応の開発

これまでの環境高負荷型の有機合成反応を、次世代型の環境にやさしい環境調和型の 有機合成反応にするため、環境調和型の触媒(固体酸、有機光触媒)と環境調和型の 溶媒(イオン液体、超臨界流体)などを用いた新しい有機合成反応の開発を行います。

3.糖を有する生理活性物質の合成研究

糖質及び糖鎖合成のための新方法論の開発

・糖及び糖鎖を有する生理活性物質の合成法の開発と応用

糖及び糖鎖は、生命現象において極めて重要な役割を担っているにもかかわらず、 現在でも最も合成しにくい生体分子であることから、この糖及糖質 を効率良く合成することが出来る新しい方法論の開発を行います。 さらに、糖及び糖鎖を有し、重要な生理活性を有する生理活性物質の合成構造活性相関に関する研究を行います。

↑このページの先頭へ