カロフィコ酸 A は,フィジーで採取されたスギノリ目の紅藻 Callophycus serratus (Areschougiaceae)の抽出液より単離・構造決定された天然有機化合物です。大型藻類から単離された化合物としては初めての例となる,ジテルペンと安息香酸のハイブリッド構造を有しています。また,不斉四級炭素を含む三連続不斉中心を有することも構造上の特徴のひとつです。生物活性としては,抗菌活性,抗マラリア活性および抗腫瘍活性が認められています。
現在,カチオンπ環化反応を用いたシクロヘキセン骨格構築法を鍵として,カロフィコ酸 A の全合成研究を行っています。