慶應義塾大学理工学部応用化学科 有機物質化学研究室 

 

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時空間パターン発生

バイオリズムというと,人と人との相性とか,その日の運勢占いとかいったことを思い浮かべてしまうかもしれませんが,本来は,生命体が自発的に発生させる周期的現象を意味しています。バイオリズムには,主として睡眠と覚醒や,心臓の心拍といった時間周期的なものと,トラやシマウマ,熱帯魚の体表模様のような空間周期的なものがあります。

生命体においては,バイオリズムと呼ばれる様々な時間的,空間的,時空間的パターンが発生します。では,人工的な化学系ではどうでしょうか?下のビデオをご覧ください。これはBelouzov-Zhabotinsky反応と呼ばれる化学反応で,様々な化学種の濃度が時間周期的に変化する化学振動と(上 ),ある化学種の濃度が高い領域が発生して周辺へと伝搬する化学波(下)が自発的に発生します。




また,ヨウ化物イオンが活性因子として機能するCIMA反応と呼ばれる化学反応を、ヨウ化物イオンの拡散を抑制するような物質が存在する系で進行させると右の図のような空間周期濃度パターンが発生します。これはチューリングパターンと呼ばれ,特徴は濃度のみならず化学ポテンシャルまでもが空間不均一な構造が,熱力学第2法則に反することなく出現していることです。

このような化学反応系以外に,結晶化系や液晶系においても様々な空間パターンが発生します。右の図は,リーゼガングリングと呼ばれる沈殿相が空間パターンを自発的に形成する現象です。

現在は主に,「自発的に時空間パターンを発生させる化学反応系,結晶系,液晶系の挙動解析と設計」および「協同的な分子配向変化に基づくソフトマテリアルの空間制御」を目的として以下のテーマに取り組んでいます。

・断続的光照射に同期する振動化学発光(ホタルの木現象の人工的化学系における実現)
・光照射に集合する液晶系
・化学反応により自発的に発生する濃度パターンの固定化と断続的振動の解析

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