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研究背景

 立方晶系結晶が平滑な6つの{100}面を露出してできる立方体状ナノ結晶(ナノキューブ)は、自己集合により結晶方位のそろった集積構造体(メソクリスタル)を形成する。そのため、ナノキューブはボトムアッププロセスによりナノ構造を自在にデザインできるビルディングブロックとして期待される。しかし、等方的な形状のナノキューブを自在に配列制御することはこれまで困難であった。そこで本研究では、形状に異方性を持つ直方体状のMn3O4ナノブロック(図1)を用いることで、ナノ結晶の自在な配列制御手法の確立を目指す。

図1. ナノキューブとMn3O4ナノブロック

研究成果

 Mn3O4ナノブロックの有機分散液を用い、Si基板上に様々な集積構造体を作製した(図2)。分散液中のナノブロック濃度および分散媒極性の調整により、配列制御を実現した(図3)。結晶表面に吸着したオレイン酸の疎水基による影響で、ナノブロックは低極性媒質中では単独で分散しており、分散媒の蒸発に伴い広い{100}面同士を合わせた1次元鎖状配列を形成した。濃度を上げると1次元鎖が方位をそろえて集積し、2次元・3次元構造体が得られた。高極性分散媒に変更すると、疎水性相互作用による液中での集積化により、配向性の異なる秩序構造体が得られた。この異方性ナノブロックの配列制御手法は幅広い分野へと適用可能であると考えられる。


図2. 集積方法と様々なMn3O4ナノブロック秩序構造体

図3. 配列制御手法とモデル図