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研究背景
金属酸化物半導体はシングル〜サブナノサイズで強い量子サイズ効果を発現しバンドギャップが大きく変化する。しかし量子ドットの合成は一般的に複雑で困難であり、十分に応用するには量子ドットのサイズを揃えなければならない。本研究では、細孔径が制御されたスーパーマイクロシリカ(SMPS)細孔内で様々な金属酸化物半導体量子ドットを合成し、それらの粒径を制御することで量子サイズ効果による機能制御を行った。
研究成果
【SMPSを利用した量子ドットのサイズ制御】
鋳型とするSMPSの細孔径や前駆体溶液の濃度あるいは含浸回数を変化させることにより、CuO、CoO、WO
3
などの金属酸化物半導体量子ドットのサイズ制御に成功した。そして、それらの量子ドットのサイズ減少に伴うバンドギャップの顕著な拡大を観測することに成功した(Fig. 2)。
【量子ドットのサイズ制御による物性変化】
WO
3
量子ドットの伝導帯のシフトを利用して、バルクでは生じない酸素の光還元の誘起に成功した。さらに、伝導帯下端準位が負にシフトするほど、酸素の光還元量が増加することが明らかになった(Fig. 3(a)、(b))。
CuO量子ドットはバルクと比較して温度変化に対する可逆的な色変化(サーモクロミズム)が顕著に現れた。さらに、バンドギャップの温度変化の大きさを表すHuang-Rhys factor Sはサイズの減少に伴い増大した。