Environmental Chemistry Lab, Department of Applied Chemistry, Faculty of Science and Technology, Keio University
慶應義塾大学 理工学部
応用化学科 環境化学研究室
Led by Tomoaki OKUDA, Ph.D.

研究内容

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ハイライト

地下鉄など閉鎖的空間の環境問題

日本では2009年に微小粒子状物質PM2.5の環境基準が設定され、それから約10年が経過した現在では、屋外大気中PM2.5濃度は減少傾向にあります。これに代わって最近では、地下鉄駅構内などの閉鎖的空間における局所的な大気汚染への懸念が生じてきました。当研究室では我が国では初となる地下鉄構内における詳細な粒子状物質の調査を行い、その様子や結果はTVや新聞などで繰り返し報道されました。当研究室では、産官学界の様々な機関と連携しながら、地下鉄構内のような閉鎖的空間における環境情報の可視化と総合的な空気品質の向上システムの構築を目指しています。

地下鉄構内におけるPM2.5調査

当研究室では2018年7月に、ある地下鉄のある駅において、PM2.5濃度の時間変化や、PM2.5および浮遊粒子状物質の成分分析などの詳細な調査を行いました。その様子や結果はTVや新聞などで繰り返し報道され、大きな反響を呼びました。

Snap Shots

地下鉄構内環境調査の様子です。当日は朝4時から準備をはじめました。

地下鉄駅ホームに環境調査のための様々な機器を設置した様子です。

調査結果の一例で、地下鉄構内と屋外のPM2.5濃度の推移です。

調査結果の一例で、地下鉄構内と屋外における粒子中の化学組成です。

調査の様子や結果は、NHK「おはよう日本」やTV朝日「グッド!モーニング」などの報道番組や、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞、中日新聞など全国の新聞などで報道されました。

地下鉄構内において採取された粒子状物質の特性解析

地下鉄構内において採取された粒子状物質中には鉄やクロムなどの金属が多く含まれています。これらの金属には反応性の高い化学種も存在するため、地下鉄構内の粒子状物質は、屋外のものと比較して有害性が高い可能性があります。そこで本研究では実際に地下鉄構内での粒子状物質の採取を行い、走査型電子顕微鏡 (SEM: Scanning Electron Microscopy) を用いて粒子の形状を観察するとともに、エネルギー分散型蛍光X線分析装置 (EDXRF: Energy Dispersive X-ray Fluorescence) を用いて元素分析を行い、さらにX線吸収微細構造 (XAFS: X-ray Absorption Fine Structure) 分光法により金属元素の化学状態を解明することを目標としています。

Snap Shots

地下鉄構内で捕集した粒子を走査型電子顕微鏡で観察した写真です。

九州シンクロトロン光研究センターBL11にてXAFS分析を行っている様子です。

地下鉄構内などの閉鎖的空間における空気環境計測デバイスの性能評価

地下鉄構内などの閉鎖的空間では空気の循環が起こりづらく粒子濃度が高いと考えられ、近年特に問題視されています。こういった空間での粒子状物質の発生源や挙動を理解する一つの手段として、多地点同時観測が挙げられます。しかしながら、従来使用されてきたPM2.5測定器は都道府県などが設置する測定局では用いられていますが、コストや大きさからこういった観測には適しておらず、比較的安価で小型かつ精確度の高い装置が求められます。近年PM2.5モニターが多数開発されていますが、測定値の気象条件依存性や粒径による応答性の違いなどといった詳細な評価は未だ行われていません。本研究では、上記のようなPM2.5モニターの実用化に向け、多角的な視点から測定値の妥当性の評価を行っています。

Snap Shots

PM2.5モニターの一例です。リアルタイムでPM2.5質量濃度が表示されます。

様々な種類のPM2.5モニターを用いて同時観測を実施している様子です。

PM2.5モニターの測定値の湿度依存性を調査する実験の様子です。

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