Environmental Chemistry Lab, Department of Applied Chemistry, Faculty of Science and Technology, Keio University
慶應義塾大学 理工学部
応用化学科 環境化学研究室
Led by Tomoaki OKUDA, Ph.D.

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テーマ


粒子の表面積と氷晶核

粒径や化学組成、形状、光学的、電気的特性など多くの因子によって表される大気中を浮遊する微小な粒子状物質(エアロゾル)の実態理解は、極めて多岐にわたる分野において重要です。とりわけ粒子が及ぼす人体への悪影響を評価するために、これまで多くの研究でその質量濃度や化学成分などが調査されてきました。しかしながら人体への沈着を介する健康影響を正確に評価するためには、沈着現象に大きな役割をもつ粒子の表面形態や電気的特性の理解向上が不可欠です。さらに粒子の凝集成長、不均一反応、氷晶形成などに粒子帯電状態、表面形態は深く関わっており、粒子が及ぼす気候への影響評価などにおいてもこれらの特性理解は重要です。そのため私たちは、拡散荷電法を用いた粒子表面積測定器や自作の氷晶核生成能測定装置などを用いた多地点での同時観測などを通して、粒子表面積の実態理解や表面形態が及ぼす粒子氷晶形成への影響理解に向けた研究を行っています。

実環境大気エアロゾル表面積の多角的解析

実環境中では、多くのエアロゾル粒子は球形で存在していないため、質量濃度や個数濃度から推定する球形の表面よりも、実際には表面積濃度は高くなっていると考えられます。しかしながら多地点かつ長期に亘った表面積濃度の測定が行われた例は多くなく、表面積濃度の特性理解は未だ不十分です。そこで本研究では、能登や福岡、福江などの多地点において、拡散荷電法というより表面積に対して直接的な手法を用いて実環境中エアロゾル粒子の表面積濃度を測定しています。そして、化学成分や粒径分布、風向・風速などの気象観測データ、大気の動きのシミュレーションなどの多角的なデータと合わせて統合的に解析を行うことで、表面積濃度に影響を与える支配的要因や地域的特徴を明らかにすることを目指しています。

Snap Shots

国内各地で拡散荷電法による粒子表面積の長期観測を行なっています。

観測地点の一つである能登の大気観測所での作業の様子です。観測所では、表面積濃度や化学成分濃度などを測定する装置が一年中稼働しています。

黒色炭素粒子(black carbon)の電子顕微鏡画像です。非球形で体積あたりの表面積が大きい粒子の代表例です。

純水(左)、低濃度土壌粒子懸濁液(中)、高濃度土壌粒子懸濁液(右)の粒子氷晶形成実験の様子です。より多くの土壌粒子を含む液滴の方が高い温度で凍結しています。

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